判例から見た熱中症事故の予防と対策【季刊教育法187号、2015年】


 公刊集に掲載されている学校管理下におけるスポーツ中の熱中症判例は、18事件(内、刑事事件2件)について、上級審を含めて22判例があります。
 民事損害賠償請求事件で4事件を除きいずれも損害賠償請求が認容され、2件の刑事事件ではいずれも有罪となっています。
 熱中症の予防方法は確立しています。
 高温・高湿度下での激しい運動を避け、休息をこまめにとり、水分・塩分・糖分等を補給することです。熱中症になってしまった時には、体を冷やし、「反応が鈍い、言動がおかしい、意識がない」等の意識障害が認められた時には、死亡する可能性の高い緊急事態ですから、①直ちに大量の水をかける等の体温低下措置を講じ、②救急車により集中治療のできる病院へすみやかに搬送して治療しなければなりません。