1 1997年7月28日の通勤途上の高速道路での自動車事故による軽度外傷性脳損傷事案。
2 車両の後部は完全に潰れてエンジンも変形している状態だった。本件事故時の車両は、Tバールーフ(構造体で補強された形状のルーフ)であったため、自動車は天井部分が潰れることなく、原告は頸椎の骨折はしたが、一命を取り留めた。
3 甲府労働基準監督署長は、主治医の意見書に基づくと、「『生命維持に必要な身の回り処理の動作は可能であるが、せき髄症状のため労務に服することができないもの』第3級の3に該当する」としながらも、平成15年8月8日付基発第0808002号「神経系統の機能又は精神の障害に関する障害等級認定基準について」の認定基準に例示される麻痺による運動障害には該当しないとして、労災保険法施行規則別表第1に定める障害等級第11級に該当するとして、同等級に応ずる障害給付を支給する旨の処分をした。
4 原告は、この処分を不服として、審査請求及び再審査請求をしたが、いずれも棄却されため、東京地裁に提訴し、2011年3月10日に結審し、7月11日に判決言渡。判決の内容は、MRIやCTで異常所見が確認できない場合でも軽度外傷性脳損傷を認める判決でしたが、症状の大半は、本件事故から6~9年たって生じたとして請求を棄却。
5 控訴審は、2012年1月19日に2度目の口頭弁論期日で結審。3月29日に判決言渡です。
6 国を被告とする事件で軽度外傷性脳損傷を正面から争う事案。
軽度外傷性脳損傷について障害等級11級⇒3級 2012年3月29日判決期日
