スポーツにおける倫理の確立に求められるもの-アメリカンフットボール違法タックル事件を通じて【経営倫理91、2018年】

 アメリカンフットボールの日本大学対関西学院大学の2018年5月6日定期戦で、日本大学の選手(DL:ディフェンスライン)が、パスを投げた後で無防備だった関西学院大学の選手(QB:クォーターバック)の背後からタックルをしてケガをさせた事件が社会の注目を集めました。
「危機管理学部」を有する日大の対応が適切であったと言えるのかという点も話題を提供し、同時にスポーツにおけるルールと指導をめぐっても問題を提起しています。
2018年1月に開催された関東学生アメリカンフットボール連盟合同監督懇談会で「暴力・暴言があったとき競技団体はどう対応する?」とのテーマで講演を担当した者としては、私が語った内容が日大の監督・コーチの胸には届いていなかったという力不足を反省せざるを得ません。
「スポーツではなぜルールが決められているのか」、「自らが決めたルールをどうして破るのか」というテーマは、スポーツのルールについての根源的な問題の一つです。
また、選手がルール違反のプレーを強いられた原因と背景を検討することは、スポーツ指導において暴力・暴言、威圧、脅迫等で選手を追い込む手法がどのような目的で使われているかを明らかにします。
これらの課題は、企業活動においても同じです。企業倫理とスポーツ倫理との異同を考えた解説です。