スポーツ基本法は、スポーツ団体とスポーツを行う者との間の規律として、スポーツ団体に対し、その運営についての透明性の確保(第5条第2項)及び紛争の迅速かつ適正な解決(第5条第3項)を求めています。
しかしながら、現状に目を向けると、スポーツ団体のガバナンスについては問題点も多く、小規模なスポーツ団体においてはガバナンスの確立について十分な対応がなされないだけでなく、そもそもガバナンスに関する関心が薄い団体も少なくありません。とりわけ、法人格を有しない団体では、法律上要求される最低限のガバナンスに関する規定さえ適用されないため、深刻な状況も生じています。
そこで、本研究では、スポーツ団体のガバナンスが問題となった最近のスポーツ仲裁事案-日本障害者バドミントン協会事件(日本スポーツ仲裁機構JSAA-AP-2010-005仲裁判断:2010年10月2日)を紹介し、小規模スポーツ団体-その中でも小規模競技団体(NF)-についてのガバナンスの実態とその問題点を明らかにし、将来のガバナンス確立へ向けた課題と展望を検討します。