風が強い状況での行事は危険がいっぱい。危険を予測し、対策を講じよう【Sports japan 2012年9-10月号】

 日本スポーツ協会の機関誌「Sports japan」の「スポーツ法律入門」のコーナーの解説です。
 「風が強い状況での行事は危険がいっぱい。」とのテーマでの解説です。
 2004年、静岡県の中学校で鉄製のサッカーゴールが突風で転倒し、下敷きになった生徒が亡くなる事故がありました。のちに校長先生が自殺するという悲しい事件が続き、テレビでも新聞でも大きな扱いで報道されました。30年以上の体育教員歴がある教頭先生は、事故後「まさかサッカーゴールが風で倒れるとは考えてもいなかった」と語っています。
 危険はどこにでも潜んでいるサッカーゴールの他に強風で転倒する危険性があるものとして、テントや野球の防球ネットが挙げられます。2010年には神奈川県の相模原市で移動式バックネットが強風で倒れ、下敷きになった見学中の母子が重傷を負いました。同じ年に山ロ県では、移動式バックネットを数人で運んでいたところを強風にあおられ、生徒が死亡する事故も発生しています。
 自転車での移動中に、突風で転倒する事故もあります。特に強風の中、用具等大きい荷物を抱えている場合等は危険です。ボールや陸上競技のやり、円盤等投てき物が思わぬ方向へ流され、事故が起こるということも考えられます。
 強風による事故ではこの他に、屋外活動を行っていて枯れ枝が落下し、ケガを負ったという事故もあります。大切なのは、そのような風の強い状況で、遠足やハイキング等の行事を行うことに伴う危険を指導者が認識することです。
 事故が起こるような突風は、落雷と同じである程度の時間的・場所的範囲を特定して予測ができ、ほとんどの事故は防止できます。外で運動する際には、指導者の方は十分に注意して安全を確保するように心がけてください。