学校保健安全法は、「学校における児童生徒等及び職員の健康の保持増進を図るため、学校における保健管理に関し必要な事項を定めるとともに、学校における教育活動が安全な環境において実施され、児童生徒等の安全の確保が図られるよう、学校における安全管理に関し必要な事項を定め、もって学校教育の円滑な実施とその成果の確保に資することを目的」(法1条)とし、学校保健法等の一部を改正する法律により、2009年、従前の学校保健法(1958年法律第56号)が名称変更された法律です。
2014年4月には、「脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無」に加えて「四肢の状態」が検診項目として加わりに、「四肢の状態は、四肢の形態及び発育並びに運動器の機能の状態に注意します。」とされ、2016年4月施行されました。
全国高等学校体育連盟及び日本高等学校野球連盟の運動部への加入率の統計では、1990年の31.1%から2014年には42.5%に増加しており、学校の運動部活動は活性化していると評価されています。これは、スポーツに親しむ機会の増加というプラス的面と「ブラック部活動」という言葉に代表される長時間活動の弊害のマイナス面とが共に生じています。
マイナス面で言えば、2013年の日本高等学校野球連盟の調査を基礎に平均的な年間野球部活動時間を算定すると1,600時間程度と推認され、労働者の年間労働時間数(1,783時間)の約9割に匹敵する時間数であり、野球を職業としている者の健康管理と同様の配慮が必要となっています。
全日本野球協会・日本整形外科学会・運動器の10年・日本協会による「2016年度中学野球(軟式・硬式実態調査)報告書」においては、身体の痛みを感じているとの回答は59.6%ありますが、その内、休まず投げ続けたとの回答が41.1%あり、また病院等への受診66.3%に対して受診せずとの回答は24.2%存します。
これらの実情に照らすならば、学校保健安全法施行規則改正の趣旨が早期に徹底され、児童生徒の健康被害を予防することが期待されています。私は、運動器検診の意義と期待される効果について、法律的立場からの一文を執筆しています。