学校でのスポーツ事故の現状と予防【季刊教育法200号、2019年】

 学校管理下の事故には、通学中の事故、授業中、校外活動、部活動中の事故等多様な場面があります。
スポーツ中の重大事故(死亡及び後遺障害を残す事故)は、2005年には全災害の40%でしたが、2017年には53%に増加しています。
全ての場面での学校管理下の重大事故の発生率はが低下している事実と併せて検討すれば、①スポーツ以外の学校事故、例えば通学中の事故、体育以外の授業中の事故は適確に防止できていますが、②スポーツ中の事故は、対策が遅れているために、全学校事故の中で占める相対的割合が増大していることを示しています。
スポーツの中でも野球の重大事故の割合は、2005年には全災害の重大事故の10%でしたが、2017年には13%に増加しています。野球部員数、野球部活動が学校管理下の活動の中で占める時間を考慮すれば、これはスポーツ事故の中でも野球の事故対策の遅れが顕著であることを示しています。
朝元気に学校に向かった子どもが、健康に帰宅できないというのは避けなければならない課題であり、今後も、事故事例を分析して予防に活かす取り組みの強化が求められています。