特集 転倒予防最前線【整形・災害外科2025年7月号】

「整形・災害外科」の2025年7月号は、「転倒予防最前線」の特集です。

編集部から「病院内ので転倒・転落事故の裁判例からみた現場に必要な法律的観点と予防対策」のお題で執筆を依頼されました。改めて、転倒転落判例を精査し、下記のような構成で執筆をしました。
1 転倒・転落事故の現状 転倒・転落事故が不慮の死因に占める割合
2 医療機関における転倒・転落事故の現状
(1) 医療事故情報収集等事業(令和5年)から見た転倒・転落事故の現状
(2) 裁判例から見た転倒・転落事故の現状
3 施設の要因から生じる転倒・転落事故4 治療上の要因による転倒・転落
(1) 診断に誤りがあることが転倒の原因であると争われた事案
(2) 歩行器による歩行を可としたことが転倒の原因であると争われた事案
(3) リハビリテーションの方法が適切でないことが転倒の原因であると争われた事案
(4) 治療後の介助・対応が転倒の原因であると争われた事案
(5) 投薬が転倒の原因であると争われた事案
5 看護の要因による転倒・転落
(1) 転倒・転落予防のための介護の必要性が争われた事案
(2) ナースコール対応による介護であったことが転倒の原因であると争われた事案
(3) 立位維持についての看護・介護方法が適切か否かが争われた事案
(4) 身体拘束をしないことが転倒・転落の原因であるかが争われた事案

転倒・転落による死亡は増加し、交通事故による死亡の3.2倍です。死亡あるいは障害を残す医療事故の医療事故のうち転倒・転落は21.47%と、医療事故の中でも対策が重要な分野となっています。

医療機関における転倒・転落事故判例は、転倒・転落の原因・機会という視点から①施設の要因、②治療の要因、③看護の要因に大別されます。

転倒・転落対策が十分であったか否かは、①転倒・転落リスクの正しい評価、②転倒・転落リスクに応じた安全な施設・設備、③転倒・転落リスクに応じた適切な治療・看護・介護、の3点から検討されます。

常時付き添えない場合の身体拘束による転倒・転落防止措置が、身体拘束を適法とする切迫性、非代替性、一時性の3要件を満たすか否かについての紛争も生じています。

転倒・転落事故についての裁判例を検討することで、同じ態様、あるいは、類似の態様の転倒・転落を防止に必要な情報を提供しています。介護施設・医療施設などの転倒予防に役立てれば何よりです。