スタート事故と指導者管理者の法的責任【Japanese Journal of SPORTS SCIENCE13巻2号、1994】

 「Japanese Journal of SPORTS SCIENCE」13巻2号(1994年4月)の特集は「水泳指導と事故」です。私は、「スタート事故と指導者管理者の法的責任」として、スタート事故の判例の分析を担当しました。画像をダブルクリックするとPDFファイルがダウンロードされます。
事故態様が類似する事案でありながら、水泳指導者・プール管理者の責任についての判断が分かれている原因は、事故の起こるメカニズム、事故が発生する要因、事故の防止方法等につき、スポーツ医学・体育学の正しい知見を前提にすべきであるにもかかわらず、この点で十分でないまま判決に至っているケースが少なくないことにあることを示しました。
文部省は、飛び込み事故防止対策として、1974年以降「水泳事故必携」を監修し、1988年には、「逆飛び込み」を「スタート」と呼び名を変えました。文部省の対策は、水深も確かめず高所から飛び込むといった「異常な飛び込み」が事故の原因であるとの認識下に、これの防止をはかっています。
しかし、事故の大半は、水深1~1.3m前後で飛び込み台が設置されている「普通」のプールで「普通」に飛び込んで生じているのであり、「異常な飛び込み」をしなければ事故は起こらないという認識では不十分であることを提起しました。
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