厳しい練習はどこまで許されますか?【Sports japan2014年1-2月号】

 日本スポーツ協会の機関誌「Sports japan」の「スポーツ法律入門」のコーナーの解説です。
「Q.厳しい練習はどこまで許されるのですか?」との質問へ答えています。
「厳しい練習はどこまで許されるのか境界がわからない」という声を聞きます。「境界」は、はっきりしています。厳しい練習であっても、選手がその練習が必要であることを理解し、自発的に行うのであれば、問題はありません。しかし選手が理解していないにもかかわらず、指導者が「強制」してやらせようとするから、境界がわからなくなってしまうのです。
指導者の暴力・体罰が裁判で「愛のムチ」等として許容されるケースは皆無であること、体罰根絶のポイントは科学的根拠とコミュニケーションであることを解説しています。
2011年の全国高校サッカー選手権で優勝した滝川第二高校のサッカー部は、体罰に頼らず生徒を主体とする指導で強いチームになりました。監督の栫裕保先生は、主従関係ではなく、ともに勝利を目指すチームメイトだということを確認するために、練習前に必ず選手一人一人と握手を交わします。
自主性を重視した指導法を徹底してから、チームは一段高いレベルになりました。栫監督は「こうした環境をつくりさえすれば、教師が力で生徒を従わせる必要はなくなる」と語っています。