部活動と危機管理【中学校・全日本中学校校長会機関誌、729号、2014年】

 全日本中学校長会の機関誌「中学校729号」(2014年6月号)は部活動の特集号です。私は、「部活動と危機管理」の題で、「部活動における暴力の実態」と部活動指導における暴力等が行使された原因を、指導者の側から類型化すると次の4つのパターンに大別できます。

  1. 確信犯型 暴力をふるうことを有益で必要だと信じている。
  2. 指導方法分からず型 暴力をふるうことはダメとわかっていても、手を上げる以外の指導方法を知らない。
  3. 感情コントロールできず型 暴力をふるうことはダメとわかっていても、感情のコントロールを失って手を上げる。
  4. 指導者のストレス解消型 自分のウップンばらしやストレス解消。暴力をふるうことを楽しむ。

 4つのパターンの中で、「感情コントロールできず型」と「指導者のストレス解消型」が誤っていることは、比較的合意を得られやすいですのですが、「確信犯型」、「指導方法わからず型」の対応が難しく、「確信犯型」は積極的に暴力等を有効な指導方法と考えており、「指導方法わからず型」も消極的にではありますが、暴力等を有効な指導方法の1つとしている点で共通しています。 後者の2つのパターンは、<強い部・部員を育てるには愛のムチが有効だ>という認識が基礎となっています。部活動において勝利を目指すことがその本質的要素の1つである以上、基礎にある<強い部・部員を育てるには愛のムチが有効だ>という認識を維持したままでは、部活動での暴力等を根絶させるたたかいで勝利を得ることができません。
 これまでの暴力等とのたたかいにおける弱点と、これを克服するためには、暴力に頼らず「選手自身に考えさせる」優れた指導者の指導方法に学ぶことが大事です。