ジュニア期の子どものスポーツには夢があります。
しかし、ときおり頭の隅をよぎるのはケガや事故の心配です。危険に対する判断能力が未発達なジュニア期のスポーツ指導においては、安全対策には、どんなものがあるでしょうか。
ことさらスポーツ事故を恐れて、24時間保護の完壁な仮想空間を大人がつくりあげても、子どもたちを社会の荒波に生きる一人前の人間に成長させることはできません。ここでの積極的な安全対策は、スポーツに危険が伴う限り、完全な事故防止は不可能であるという事実認識に立つことです。子どもたちの心とからだの状態を把握し、危険を予知し、いかにすれば事故の発生を少なく、事故の被害を小さくできるか、とのリスクに立ち向かう実践的な指導法から、回答が導き出されます。
(財)日本体育協会日本スポーツ少年団安全対策プロジェクト班は、このような「少年スポーツにおける危機管理学(リスクマネジメント)」を、スポーツ医学・スポーツ法学・スポーツ体育学が協力したネットワークの中で、それぞれの専門知識を活用し、危険回避とその対処に一つの解決の道筋を構築したいと考え、本書を編集しました。
私は、菅原哲朗(弁護士)・日置雅晴(弁護士)と共に法律領域の部分を執筆しています。