2008年に開催された日本整形外科スポーツ医学会第34回学術集会の成果をまとめた書籍が「スポーツ医学実践ナビ-スポーツ外傷・障害の予防とその対応」【日本医事新報社、2009年】です。
私は、上記学術集会で「整形外科医のためのスポーツ法学入門」で講演を担当し、本書においては、「医師のためのスポーツ法の基礎」を執筆しました。
医師がスポーツにおいて期待されている3つの場面ごとに課題を提起しました。
第1は、プレーヤーの特性に応じて、安全で健康にスポーツに参加するために助言をする場面です。プレーヤーは、体力・体格の差、性差、年齢、基礎疾患・障害等の有無や内容の点で個性差があります。それぞれの個性差に配慮して、安全で健康にスポーツを行うことが必要であることを解説しました。
第2は、ルールに則って競技力を向上させるために助言をする場面です。プレーヤーの健康を維持しながら競技力を向上するための栄養の摂取、メンタルトレーニング等です。競技力の向上は、ルールに則って行われなければならず、ドーピングへの配慮が重要であることを実例を示して解説しました。
第3は、スポーツをする者が病気やけがをした時に、その病気やけがを最小限にとどめて、迅速に健康を回復する場面です。病気やけがをした場合の救急措置、その後の治療等です。スポーツ大会等のように多数人が参加する状況下で、医療的対応が必要となる可能性が高いと判断される場合には、そのための事前の準備が必要となります。