日本弁護士連合会は、2013年、「スポーツ基本法と弁護士の役割~体罰・セクハラ・スポーツ事故の防止、グッドガバナンスのために~」とのシンポジウムを開催しました。
このシンポジウムでは、①スポーツ界においてなぜ不祥事が繰り返されるのか、その背景、原因は何か、②どうしたら不祥事を防止できるのか、③不祥事が発生した場合の対応や処分は、どうあるべきか等についてさまざな検討がなされました。
このシンポジウムを支えた弁護士が、シンポジウムでの検討を踏まえて、スポーツにおけるグッドガバナンスを網羅的に取り上げ、スポーツ団体の関係者、研究者、弁護士等に有益な資料とすべく企画された書籍です。
(1) 「事例にみるガバナンスの実情と課題」として、各スポーツ、スポーツ団体における過去の各不祥事事例等にみる問題点、対応の実態を紹介する1部
と
(2) 今後の課題についての分析・検討の2部
とから構成されています。
私は、第1部の中の「高校野球の特待生問題と日本高等学校野球連盟のガバナンス」を執筆をしています。
(1) 高校野球の特待生問題の事案の概要
(2) 高校野球特待生問題が生じ、当初の対応が批判された原因が、①制度の定期的な見直しを怠ったこと、②広範な違反行為に対して個別違反行為の対応をしたことにあること、
(3) 日本高等学校野球連盟は、外部有識者による「高校野球特待生問題有識者会議」を設置し、解決案の提起を委託したことは、「お手盛り」と批判されることを防ぎ、正しい対応であってもなお否定されることを予防する対応をとったこと、
(4) 有識者会議は、全ての競技におけるスポーツ特待生の統一的対応を提言しているが、高校野球以外の競技団体は、特待生制度の弊害をどのように改善するかの取り組みは学校任せとなっていることが課題として残されていることを紹介しています。