日本転倒予防学会誌創刊号(2014年3月号)に掲載された「建物の構造・管理に起因する転倒・転落事故の紛争事例の動向」です。画像をダブルクリックすると日本転倒予防学会のホームページに移動します。
不慮の死の中では、転倒・転落死は18.9%であり、交通事故死(15.6%、第4位)よりも多いのです。
不慮の事故による死者数の割合を種類別・年次別に見ると、交通事故による死者数の割合が顕著に減少している(1996年:36.6%⇒2012年:15.6%)にもかかわらず、転倒・転落による死者数の割合は増加しています(1996年:15.1%⇒2012年:18.9%)。
転倒・転落判例の内建物の構造・管理等に起因するものを概観し、転倒・転落防止のために建物の構造・管理に何が求められているかを検討した研究報告です。
建物の構造・管理に起因する同一平面での転倒事故について、①「施設管理者の責任を否定した建物の構造・管理に起因する同一平面での転倒事故」、②「施設管理者の責任を肯定した建物の構造・管理に起因する同一平面での転倒事故」、③さらに、「医療施設等であることを理由として高度な安全性が求められた事案」について判例を紹介し、どのような安全が求められるかを解説しました。
次に、①建物の構造・管理に起因する階段及びステップからの転落及びその上での転倒、②建物又は建造物からの転落(窓からの転落、バルコニー・屋上・庇からの転落事故)について判例を紹介し、どのような安全が求められるかを解説しました。
転倒・転落判例の内施設の構造等に起因する転倒・転落事故判例を概観して、その原因を検討し、どのような対策が必要かを検討しましたが、これらの失敗例に学び、転倒・転落予防のための対策を進めることが課題であることを提起しています。