「どんな高齢者をめざしますか?」というエッセイです。
避けられる不慮の死は避けたい。スポーツ事故の予防に1980年代から取り組んできた法律家の1人としては、交通事故による死をこれだけ減少できているのに、他の不慮の死因を減らすための取り組みができないものかと思い続けています。
高齢者の誤嚥・誤飲予防はなかなか難しい問題がありますが、風呂での溺水予防と転倒・転落事故予防は、取り組み如何で、かなり効果を上げられるのではないかと思っています。
病気の予防の取り組みはかねてあったものの、転倒を予防しようという取り組みが始まったのは、1997年から。東京厚生年金病院で整形外科客員部長だった武藤芳照さんの転倒予防教室が初めての取り組みでした。
高齢者の転倒予防は、転倒による死亡だけではなく、転倒により寝たきりになることの予防にもなります。寝たきりにならず、元気で生活をし、いずれ迎えが来る日には、苦しまず、周囲に迷惑をかけずに旅立ちたい。単なる長寿ではなく、歳相応に具合が悪いところがあっても、自分で自分のことができる長寿を願っています。武藤さんは、「90歳から始めても効果はある。だが、40代に始めれば50、60代と健脚でいられる」と語っています。さあ、毎日歩こう。